7 月 17 日、梅雨明けとともにおっさん(とハシモト)は旅立っていった。
長野県のてっぺんあたりにある温泉街、野沢温泉村の全面バックアップのもと、「全長65km、標高差4100m、24時間制限の温泉街、湖畔、滝、花畑などを通る魅力溢れるトレイルコース」(大会 Web サイトより) を走る「マウンテントレイルin 野沢温泉」に参加するため。
よくわからないけど、こんなに走るなんて、おっさんマゾですな。
大会本部があるオリンピック・スポーツ・パーク
スタート/ゴール地点に立って、明日のレースへの意気込みを新たにするハシモト。
この写真はなんでさかさまなんだか・・・?
前夜に行われたコース・ガイダンスとセレモニーの様子。
宿泊した温泉旅館での夕食。しっかり食べて明日はがんばるぞー。
ゼッケンもろた。IPhone があれば、ゼッケン番号を基に選手の現在位置を追跡できるらしい。しかし、おっさんと私はいまどき携帯電話も持っていないので論外。
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翌 7 月 18 日、7:00。東京の私がようやく起き出す頃に野沢温泉のおっさんとハシモトは
霧に煙るオリンピックパークにいるのだ。(雨が降ったようです。)
いよいよスタート!
↑ 公式 Web サイトにスタート時の動画が上がっていました。おっさんを探せ!(超高難易度)。この時点ではあまり天気良くないんですね。
滝あり
湖あり
鎖場まである。
走ることを楽しいと感じたことは一度もないし、トレランに参加することは今後も絶対ないと思うけど、おっさんが 1 人で私の行けないところに行ってくると (付き合わずに済んで楽だと思う反面) なんだかうらやましく感じる。しんどい思いはしたくないけど、おっさんが見たものを、見られないのが悔しいというか・・・。今回は途中から写真を撮る余裕すらなくなったらしいので特に。
気温がぐんぐん上がり、おっさんは「もう水すら飲みたくない」くらいしんどくなって、途中道端で 10 分ほど寝てしまったそうだ。
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おっさんが苦闘を続ける中、私は新幹線、バスを快適に乗り継いで、15:00 に野沢温泉グランド・ホテルに到着。ゴール後のおっさんとここで合流する予定です。すぐにチェックインしてお部屋に通してもらう。
230 人も参加者がおり、お互い携帯電話を持っていないとくれば、到底おっさんの居場所を突き止めるのは無理だろうと予想はついていたので、涼しいホテルで温泉に浸かったりしてのんびり待っているつもりでいた。ただし、ゴールが何時になるのかわからないためホテルの夕食を付けておらず、外食できる時間帯には帰ってこられない可能性もあるので、夕食の確保とおっさんの「ビール買っておいて」というリクエストに応えるべく、空にしたリュックを背負って猛暑の町に出た。
食料品店やおみやげもの屋さんを覗いてみたけれど、お弁当はおろかおにぎりすら見つけられなかった。24 時間営業のコンビニもなさそうなので、カップ麺やらビールやらを買いこんでおく。お店を出ると、傍らをトレイルランナーが駆け抜けていった。思わず後をつけてゆくと、地元の方たちが沿道で声援を送っている。お話をうかがってみると、そこはゴールに向かって最後に温泉街を抜けるコースの一部なんだそう。すでにゴールしておられる方もいるという。おっさんには、夜どおし走ることになるかもしれんと聞いていたので、ペースの早さにびっくり。
しばらくそこで観戦させてもらっていたら、「本部があるオリンピック・パークに行ってみたら旦那さんの様子がわかるかもよ」「シャトルバスで行けば 5 分だから」とボランティアさんたちがすごく親切に勧めてくださった。正直背中のリュックのビールが気がかりではあったのだけれど、すぐに行って来られるというし、おっさんの現在位置を本部で調べてもらえるようなら、温泉街を通りそうな時間帯を割り出せるかもしれない。そしたらホテルで待機しつつ、頃合いを見計らって沿道に出て、おっさんの走る姿を見られるかもしれない。・・・とうっかりその気になってしまったのが、間違いだった。
私は超がつく方向音痴で、子供のころに家の近くで道に迷って保護された経験が 2 度もあり、進行方向が逆の電車に乗ってしまうようなことは日常茶飯事。
まず、バスターミナルへの分岐を見落とし、道すがら出会った大会スタッフの方に確認してみると、そこからなら歩いて行っちゃった方が早いとアドバイスを受けた。その後、林道に入り込み、思っていたのとは逆の方向へ突き進み、2 時間近くに渡り迷走することに。
結局なんの成果も得られないまま、ホテルに帰ってきた。十分な水も持たずに炎天下の上り坂を長時間歩いたため、干からびそうに。皮肉にも、重たいリュックの中には、アルコールが苦手な私には飲めないビールしか入っていないという・・・。よれよれになって街に戻ってきて、最初に見つけた自販機で買った冷たいお茶は、天国の味がしたよ。ほんと。
この結果にすっかり自信を失ってしまった私は、おとなしくホテルで待っていることにしました。
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おっさんがホテルの部屋に到着したのは 20 時ちょい前。なんとか明るいうちにゴールできたらしい。顔を合わせて第一声が、「ビールあるの?」だった。
ゴール後倒れこんで見上げた空らしい。
「オレたちがんばったよな!」と感無量のハシモト。
念願のビールはさぞかしおいしかったことでしょう(私が何時間も持ち歩いたビールなんだよ)。あっ、地ビールだと思って買ったのに、「新潟ビール」だって・・・。
タイムは 11 時間 25 分(男子総合 50 位代)でした。結構、がんばったね。おっさんは、上位一握りのランナーを除いて、タイムにはあまり意味がないと言うけれども。
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自分が山登りをして帰ってくるときは、生ける屍みたいになるのが常なので、おっさんもさぞかしボロボロになって帰ってくるだろうと思っていたのに、わりかし平気そうで肩すかし。
翌日、ぐっすり眠って元気いっぱいな様子のおっさんと、長坂ゴンドラ・リフトに乗ってぶな林トレッキングに出発。
実は前日、道に迷ったときに、長坂ゴンドラ・ステーションの前の道を右往左往している私であった。
ゴンドラの山頂駅からすぐにゲレンデが広がる。スキー・シーズンには賑わうのでしょう。ここは、トレランのエイド・ステーションにもなっていたようで、おっさんは「この道を走った!」「こっちからあっちへ行った!」と教えてくれました。
数あるトレッキング・コースの中から、お花畑コースを選択。
ぶなの森に入ります。ここもトレランのコースの一部だったそう。
前日多くのトレイルランナーが駆け抜けていった道だけれど、この日は静まり返っていました。
「熊よけ」「たたけ」って。「オレも叩いてみていい?」とクマの自覚がなさそうなハシモト。
午後は温泉街を散策。
野沢温泉といえば有名なのが外湯。町を歩いていると遭遇するいくつもの共同浴場で、湯めぐりが満喫できます。
これは私たちが立ち寄った河原湯。中では、あまりに熱すぎるお湯に、みんな湯船に入りかねていた。(源泉 60 度を掛け流しらしい。) そこへ登場したおばあちゃん 2 人組の的確な指揮に従って、お水を流し、みんなで湯もみを開始。一致団結して、浸かれる状態にしたのでした。一方おっさんの行った男湯では、そんな熱いドラマが生まれることもなく、足だけ浸かってそそくさと退散してきたそうだ。
麻釜にも行ってみた。地元の人々が野菜や卵を茹でるのに使います(90 ℃のお湯が沸いている)。観光客の立ち入りは不可。
その後立ち寄ったお土産物屋さんや喫茶店では、おっさんがトレランに参加したことを見抜いて(それ用のリュックを背負っていたので一目瞭然)、「お疲れさま」と声を掛けていただいた。前日にも声援を送ってくださっていたそうだ。ありがたいです・・・。
温泉街には、他にも多くのランナーたちが闊歩していたのだけれど、みなさん一様に涼しい顔をしているのに驚いた。「トレランは、回復力の早さが決め手なんだ」とおっさんは言っていたけれど。それにしてもタフだわー。
最後はおそばやさん「庄平」で自慢のおそばとアスパラの天ぷらをいただいた。おいしかった。
野沢温泉、温泉も自然も、地元の人々も良い感じでした。おっさんが来年もマウンテントレイルに参加するなら、またぜひ着いてきます。
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おまけ
むむ・・・ライバル!?
うちの子よりも可愛いかも・・・。